更年期に眠れないのはなぜ?夜中に目が覚める原因と対処法

2026/9/19

「以前は眠れていたのに、最近は夜中に何度も目が覚める」
「寝つきが悪く、朝も疲れが残っている」
「明け方に目が覚め、そのまま眠れない」

40代以降、このような睡眠の変化を感じる女性は少なくありません。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、更年期女性の4~6割が睡眠の悩みを抱えていると報告されています。

更年期の不眠は、単に「年齢のせい」ではありません。女性ホルモンの変化だけでなく、ほてりや寝汗、ストレス、気分の変化、睡眠時無呼吸など、複数の要因が重なっていることがあります。

◾️更年期とは

更年期とは、一般的に閉経の前後5年間、合わせて約10年間を指します。日本人女性の閉経年齢は個人差がありますが、おおむね50歳前後であるため、45~55歳頃が更年期にあたります。

この時期には卵巣機能が低下し、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が大きく揺らぎながら減少していきます。その影響により、ほてり、発汗、動悸、頭痛、肩こり、疲労感、気分の落ち込みなど、さまざまな症状が現れます。睡眠の変化も、その一つです。

◾️更年期にみられやすい不眠のタイプ

更年期の不眠には、主に次のようなタイプがあります。

  • なかなか寝つけない「入眠困難」

  • 夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」

  • 予定より早く目が覚める「早朝覚醒」

  • 眠ったはずなのに疲れが取れない「熟眠感の低下」

不眠症は、睡眠時間の長さだけで判断するものではありません。睡眠の問題によって、日中の眠気や疲労、集中力の低下、気分の不安定さなどが生じ、生活に支障が出ているかどうかも大切な判断材料です。

◾️更年期に眠れなくなる主な原因

1.ほてりや寝汗で睡眠が分断される

更年期に多いホットフラッシュや寝汗などの血管運動神経症状が夜間に起こると、深い睡眠が妨げられ、眠りが細切れになりやすくなります。

「暑くて目が覚める」「寝汗で着替える」「目が覚めると動悸がする」という場合は、更年期症状が睡眠に影響している可能性があります。

2.女性ホルモンと体内時計の変化

閉経移行期から閉経後にかけて、不眠症や閉塞性睡眠時無呼吸のリスクが高くなることが知られています。女性ホルモンの減少が関係すると考えられていますが、その仕組みはまだ十分には解明されていません。

また、加齢に伴って体内時計が前に進みやすくなり、以前より早く眠くなる一方、明け方に目が覚めやすくなることもあります。

3.仕事、家事、介護などの心理社会的ストレス

更年期は、仕事上の責任、子どもの進学や独立、親の介護、夫婦関係、自身の健康への不安などが重なりやすい時期です。

心配事が続くと、身体は疲れていても脳の覚醒が鎮まらず、「眠らなければ」と考えるほど、かえって眠れなくなることがあります。

4.うつ病や不安症が隠れている

不眠は、うつ病や不安症の初期症状として現れることがあります。

眠れないだけでなく、気分の落ち込み、楽しめない、意欲が出ない、焦りや不安が強い、食欲が変化したといった状態が続く場合は、睡眠だけの問題と考えず、早めに医療機関へ相談しましょう。

5.睡眠時無呼吸が「不眠」として現れる

閉経後は、閉塞性睡眠時無呼吸のリスクも高くなります。

女性の場合、典型的ないびきや日中の強い眠気よりも、中途覚醒、疲労感、熟眠感の低下、朝の頭痛などが目立つことがあります。そのため、「更年期による不眠」と思っていたら、睡眠時無呼吸が関係していたということもあります。

6.むずむず脚症候群など別の睡眠障害

夜になると脚がむずむずする、ほてる、動かさずにはいられない、歩くと楽になるという場合は、むずむず脚症候群の可能性があります。鉄欠乏などが関係することもあるため、自己判断でサプリメントを飲み始めるのではなく、必要な検査を受けることが大切です。

◾️今日から見直せる5つのポイント

1.起床時刻をなるべく一定にする

眠れなかった翌日も、起床時刻を大きく遅らせないようにしましょう。朝の光を浴びることは、体内時計を整える助けになります。

2.眠くなってから寝床に入る

早く眠ろうとして長時間ベッドで過ごすと、かえって眠りが浅くなり、中途覚醒が増えることがあります。「寝床は眠る場所」と身体に覚えさせることが大切です。

3.夕方以降のカフェインと寝酒を控える

カフェインはコーヒーだけでなく、紅茶、緑茶、ウーロン茶、エナジードリンクなどにも含まれます。夕方以降は量を控えましょう。

アルコールは一時的に寝つきを良くしますが、睡眠後半の眠りを浅くし、中途覚醒を増やします。寝酒は不眠の対策にはなりません。

4.日中に無理のない運動をする

ウォーキングやヨガなど、無理なく続けられる運動を日中に取り入れてみましょう。ただし、就寝直前の激しい運動は覚醒を高めるため、できれば就寝2~4時間前までに終えるのがおすすめです。

5.寝室の温度と寝具を調整する

ほてりや寝汗がある場合は、通気性のよい寝具や寝衣を選び、室温・湿度を調整します。冷却しすぎると睡眠を妨げることもあるため、ご自身が快適に感じる環境を探してみましょう。

◾️「更年期だから」と我慢せず、ご相談ください

次のような場合は、医療機関への相談をおすすめします。

  • 不眠が続き、仕事や家事に支障が出ている

  • 日中の疲労感、眠気、集中力低下が強い

  • ほてり、寝汗、動悸などの更年期症状がつらい

  • 気分の落ち込みや不安、意欲低下を伴う

  • 大きないびき、呼吸停止、起床時の頭痛を指摘された

  • 夜になると脚の不快感が強くなる

  • 市販薬や睡眠薬を長期間使用している

治療は睡眠薬だけではありません。睡眠習慣を整える認知行動的なアプローチ、ほてりや寝汗への治療、漢方薬、必要に応じた睡眠薬などから、症状や体質、持病、服用中の薬に合わせて検討します。ホルモン補充療法が選択肢となる場合もありますが、適応やリスクを個別に評価することが必要です。

また、睡眠時無呼吸やむずむず脚症候群、甲状腺疾患、貧血・鉄欠乏、うつ病などが疑われる場合には、専門医療機関へのご紹介を行います。

リタリス・ヘルスケアクリニックでは、睡眠だけを切り離して考えるのではなく、更年期症状、こころの状態、生活習慣、身体疾患などを含めて総合的に診察しています。

「年齢のせいだから仕方がない」とあきらめないで、どうぞお気軽にご相談ください🌿


参考資料

※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としています。症状や治療方法には個人差がありますので、診断や治療については医師にご相談ください。